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HDコーティングはゴーストレスの夢を見るのか : Do HD-Coating Lenses Dream of Ghostless photo?


IMGP6844.jpg
PENTAX Q + 01lens

最初に

本記事では、画面に本来ない色が被さったような状態になった部分(いわゆるベーリンググレア)を「フレア」、フレアのうち形を伴った物を「ゴースト」と呼んでいます。
なお、ゴーストとフレアの区別がつかない場合、以下の記事のご一読をおすすめします。実際のサンプル写真付きで解説されています。

前書き

『PENTAXのHDコーティングが如何に凄いか』について以前に HDコーティングとABCコーティングとsmcコーティングの話 という記事を書いたのですが、このHDコーティングに関して、Twitterにて「HDコーティングのレンズで、フレアやゴーストが気になる」という旨の発言を目にしまして
信仰心の篤いPENTAXIAN(管理人)としては居てもたってもいられず、『ふっざけんな!PENTAXのコーティングは世界一なんだぞ!』という何の問題解決にもならないクソリプを飛ばしてみた次第なのですが、話を伺っているうちに、
  • もしかしたらHDコーティングの採用によって、
    特定条件下でフレアやゴーストが発生し易くなっているのでは?
という、疑問が生じたので、HDコーティングと非HDコーティングとで、フレアやゴーストの発生具合に差異があるか調べてみました。

先に結論を書くと、

  • 夜景」でかつ「画面内に小さな光源を含む」場合に発生するフレア・ゴーストに関しては
  • HDコーティングによる影響はなく、単にレンズ鏡筒内の機械的設計に起因するもの
という結論に至りました。
なお、他のシーン(光線状態)については、「調べないとわからない」としか言えません。

※ 余談ですが、「クソリプ」については、Twitterの「クソリプ」問題を考える─ 個人投資家・山本一郎 という記事が良い感じにまとまっており、分かり易いかと思います。また、Twitterで出回ったクソリプの分類まとめを一読すると、今後の人生において何かの役に立つかもしれません。

問題の写真


  • 使用レンズ: HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR
問題の写真のどこが気になるのか矢印で示してみました。分かりづらい部分は、拡大表示で確認してください。
管理人による、てきとうな説明補足
写真全体で見るとフレア(ベーリンググレア)の問題はないのですが、やや遠くにある光源の周りでは、フレアやゴーストが確認できます。特に、手前右側のゴーストは、いささか目障りな感じでしょうか。

同様にフレア・ゴーストが発生している写真一覧

PHOTOHITOのレンズ別の作例から、手作業で似たような写真を探してきました。以下の手順で確認しています。
  1. 写真一覧から「夜景写真」かつ「画面内に光源があるもの」をピックアップ
  2. ピックアップした写真を拡大表示して、フレア・ゴーストの有無を確認
なお、PHOTOHITOを選んだ理由は、レンズ別のデータを手軽に閲覧できるからです。投稿写真の多いFlickrで見つけられれば一番良かったのですが、上手いこと見つけられませんでした。

HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited 

まずは、@Sukeru_Pentaさんの固体に特有の問題でないかを確認するため、他の方のDA20-40で、同様の問題が発生しているのかを確認しました。
他の方のDA20-40でも、同様にフレア・ゴーストは発生していました。
というわけで、フレア・ゴーストの原因としては、以下の2つのいずれかに限定されると考えられます。
  • DA20-40の鏡筒内の設計によるもの(要するに、このレンズの仕様)
    • 誤解のないように補足すると、反射が一切起きない部材のみでレンズを構成することはできないため、鏡筒内での反射などによるフレア・ゴーストを完全になくしたレンズなんてものは、現実的に存在し得ません。
    • DA20-40の設計が悪い、という話ではないです。
  • HDコーティングによるもの

HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited 

HDコーティングによってフレア・ゴーストが発生するようになったのかを確認するため、レンズ構成が同じでコーティングが異なる、HD35MacroとDA35Macroを比べてみました。(厳密には、絞り羽根が異なるなど微妙な差異点があるのですが、たぶん影響は少ない…はず。)

smc PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited

数値の上では、HD35の方が、確認枚数に対してフレア・ゴーストが発生した枚数が多いですが、「夜景」でかつ「光源を含む」という条件に合う写真自体が数えるほどしかなかったので、これをもってHDコーティングが悪いとは言えません。

投稿写真を見た感じでは、HDにしても、DAにしても、「夜景」でかつ「画面内に光源を含む」場合に、光源周りにフレアやゴーストが発生するのは変わらない雰囲気です。HDコーティングによる悪影響は特段見当たりませんでした。

というわけで、HD20-40の仕様という結論に至りました。

他メーカのレンズ

さて、HD20-40に関しては以上なのですが、そもそもPENTAXだけの問題なのか気になったので、他メーカのレンズについても色々調べてみました。流石に全ては見切れないので、てきとうにサンプルを採取しました。

結論

どんなレンズを使っても、大なり小なり、
  • 「夜景」でかつ「画面内に小さな光源を含む」場合には
    光源の周りに、フレアやゴーストが発生する可能性はある
という感じでしょうか。

ここで、物理学的に原因を考察できるとかっこいいのでしょうが、よくわかりません。

いや、まぁ、なんていうか、自分の場合、HDコーティングのレンズ持ってないし、多少のゴーストやフレアでは実害がないし…。技術革新によって、こういった場合でもフレア・ゴーストが発生しなくなるとよりベターかなぁ、というくらいの感想を持ちました。

追記

Canonの新型EF100-400mmに使われている ASC(Air Sphere Coating)は、『特に垂直に近い角度で入射する光に対して、高い反射防止効果を発揮し、』と書かれているので、今回問題になった状況(遠くの小さな光源からの入射光)に対して効果を発揮するのかなぁ、と思ったり思わなかったりするのですがどうなんでしょう。

ASC、従来のコーティングの表面に「空隙を備えた膜」を備える点では、構造的にPENTAXのABCと似てますね。

よく読んでみると、ASCは「蒸着によって形成」(スパッタ蒸着かなぁ?)していることを明言しており、また『コーティング強度が高い』とあるので、やわいシリカエアロゲル層を使うABCよりイケてるじゃないですか…。Canonの技術力はハンパないな!


それにしても、ASCもABCも、膜内に均質な空隙をつくっちゃうとか、製造コストがかかりそうなことやってるなぁという印象です。(普及価格帯で使われると嬉しいんだけど!)