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HDコーティングに関する話(1)




HDコーティングに関する特許(と思しき)出願が公開されていました。膜の組成や、その特徴が良くわかる資料となっています。

出願情報

出願番号特願2012-202386
出願日2012.9.14
公開番号特開2014-56215
発明の名称反射防止膜、それを用いた光学部材、及び光学機器
発明の概要HDコーティング (可視光域 390-720nmにおいて反射率0.1%程度)
発明者藤井 秀雄、竹友 裕樹

発明者

成膜の専門家の方と、新しい方のようです。
PENTAXの開発陣も、徐々に新しい方が増えていっている雰囲気ですね。
(世代交代の足音が近づいて来ているのでしょうか…)

発明の内容

概要

可視光域(390-720nm)全域において、低反射率の多層膜コーティングを少ない層数で実現する。
具体的には、全9層の多層膜コーティングで
  • 高屈折率層中間屈折率層と、を交互に積層する(第1~8層)。
  • 最上層(第9層)を、低屈折率層とする。


それぞれの層の特性は、
    • 高屈折率層 (第2,4,6,8層)
      • n  = 2.21 - 2.77
        • 中間屈折率に対して 0.67 - 1.30の差を有すること
      • 材料: TiO2 、Nb2 O5 、又はTiO2 、Nb2 O5 、CeO2 、Ta2 O5 、ZnO、ZrO2 、In2 O3 、SnO2 及びHfO2 の混合物又は化合物
    • 中間屈折率層 (第1,3,5,7層)
      • n = 1.40 - 1.55
      • 材料: SiO2 、YbF3 、YF3 、又はSiO2 、Al2 O3 、CeF3 、NdF3 、GdF3 、LaF3 、YbF3 及びYF3 の混合物又は化合物
    • 低屈折率層 (第9層)
      • n (d線に対する屈折率) = 1.35 - 1.40
      • 材料: MgF2 、AlF3 、又はMgF2、AlF3 及びSiO2 の混合物又は化合物
      成膜方法としては、
      • 高屈折率層中間屈折率層は、スパッタリング法またはイオンレーティング法
      • 低屈折率層は、真空蒸着法

      実施例1-1

      • 高屈折率層 (第2,4,6,8層)
        • 材料: TiO2
      • 中間屈折率層 (第1,3,5,7層)
        • 材料: SiO2
      • 低屈折率層 (第9層)
        • 材料: MgF2
      最上層まで含め、汎用的かつ硬度のある材料が用いられているので、ハンドリングしやすそうです。層数が少ないことに加え、汎用的な材料を用いているため、コスト面でかなり有利そうです。



      反射率は、可視光域全域でフラットに、0.1%前後まで抑え込まれています。
      これはもう、お見事というしか。

      所感

      HDコーティングのプレリリースの資料と合わせて見た感じでは、本願はHDコーティングに関するものとみて良いかなと思っています。
      話は変わりますが、PENTAXの最上級コーティングであるAeroBrightCotingは、性能的には優れているものの、柔いのとコストがかかるために、コーティングできるレンズが限られるという問題があったような気がします。(どこに書かれていたか失念…)

      HDコーティングは、『従来コーティングを大幅に改善したもの』と喧伝されていますが、別の見方をすれば、AeroBrightCoting の抱える「耐久性に難あり」、「コスト高」という2つを一気に解決し、普及価格帯に持ってきた技術、という風にも見えます。

      PENTAXのコーティング技術に関しては、以前から、他社を先行しているという噂を聞いたことがあるような気がしますが、今現在も他社の一歩先を行っているのかなぁという印象を抱きました。

      長くなってので、HDコーティングの性能の話については次回に回します。