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LOVE PENTAXYZ

News & Tips about PENTAX products, and daily photos by PENTAX cameras.

世界でいちばん濃ゆい Pentax K-1 レビュー P.18 AF性能とAFに関する各種機能

K-1

以下の記事は、PentaxForumsによる

P.28 "Focusing"の抄訳となります。

原文の紹介や、他ページの抄訳については下記ページにまとめています。

blog.lovepenta.xyz

このページの目次

18. Focusing (AF性能とAFに関する各種機能)

既存のPentaxのAFユニットを再利用するではなく、K-1には新型位相差AFユニット SAFOX12が投入された。加えて、K-1はAFを補助するための各種装備が追加されている。以下では、これらについて詳細を述べる。

光学ファインダー利用時のAF (位相差AF)

SAFOX 12 は、SAFOX11をベースとして2つの大きな改良が加えられている。最も重要なことに、 光学ファインダーに透過型液晶が追加されたおかげで、この新たなAFユニットは撮影者により豊富な情報をフィードバックできるようになった。複数のAFポイントを同時に点灯可能になったため、多くの場合において、撮影者はカメラのシステムが何を被写体として認識しているかを把握できる。

どのように機能するかを図示するため、AFをAutoモードとしている場合に、光学ファインダーに何が見えるかの写真を載せた。パンフレットのエッジ部に沿って正確に4つのAFポイントが点灯していることが分かるだろうか。

ファインダー内の表示を写した写真(元記事参照)

カメラは『今、何を捉えているか』を撮影者にはっきりと示してくれる。

別の重要な改良点は、K-3のSAFOX 11に比べると、中央の5×5(25個)のクロスタイプのAFポイントのグリッドに対して、ラインタイプのAFポイントが左右に3つずつ追加されている。これにより、AFポイントの数が33個に増えている。これらの新たなAFポイントがクロスタイプであればなお嬉しかった。もしクロスタイプであったなら、K-1のAFはさらに精度を増すことができただろう。

それでも、これらの追加されたAFポイントのおかげで、今までの機種で、中央のグリッドと左右端のポイントとの間に開いていた間隔が埋められている。このおかげで、動体追従性が改善されるとともに、測距点切替モードを「セレクト」や「ゾーンセレクト」に設定したときにより細かに位置決めができる。(AFポイントの選択モードについては、以下の章でより詳細に説明する)

K-1のAFポイント33点を示す写真(元記事参照)

K-3と同様に、中央とその上下の2点の計3点は、大口径のレンズ(F2.8以下のレンズ)を使うときにメリットがある。*1 中央のAFポイントは、両端の2つのラインセンサを除く他のAFポイントよりもわずかながら大きい。

K-1のAFポイントのカバー範囲は、PentaxのAPS-Cボディと比べると変わっていない。AFポイントの広がっている範囲は、APS-Cイメージの領域の半分をちょうど越えるくらいだ。カバー範囲はより広いほうが望ましいのだが…、 K-1のカバー範囲はこのサイズが限界とは思えない。(より大きなサイズの光学ファインダーがAFユニットを囲んでいる645Zとは置かれている状況は異なっているはずだ)

設定項目とモード

Pentax K-1 では、メインメニューに各種設定を統合したページが用意された。このページでは、光学ファインダーを用いたAFに関する全ての設定項目がまとめられている。最初の2つの設定項目は、コントロールパネルからも設定することができる他、レンズマウント近傍に設けられたAF MODEボタンを押すことでも設定できる。後者の方法は、特に使い勝手に優れる。AFモードと測距点切替モードとを光学ファインダーから目を離すことなく、ダイレクトに変更することができる。

AFとMFとの切り替えは、ボディに設けられたAF/MF 切替スイッチで排他的に選択可能だ。また、一部のハイエンドレンズには、レンズにAF/MFの切り替えスイッチが設けられている。

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以下では、設定項目についてざっと見ていこう。

AFモード
AF.S シャッターを半押し、またはAFボタンを押すごとに、AFが動作する。
AF.C シャッター半押し、またはAFボタンを押している間、AFが動作し続ける。
測距点           
オート(33点) 全AFポイント 33点を使って、カメラが自動的に被写体を認識しようとする
ゾーンセレクト ユーザーが選択した9点(AFエリア内の3×3のグリッド) を使って、カメラが自動的に被写体を認識しようとする
スポット 中央の1点のみを用いる
セレクト ユーザーが選択した1点のみを用いる
セレクトエリア拡大S
(AF.C でのみ有効)
最初のフォーカスポイントとしてユーザーが選択した1点を用いる。システムが合焦後に被写体がフォーカスポイントから動いたと認識した場合、近傍の8点を用いてフォーカスを合わせようとする。
セレクトエリア拡大M
(AF.C でのみ有効)
最初のフォーカスポイントとしてユーザーが選択した1点を用いる。システムが合焦後に被写体がフォーカスポイントから動いたと認識した場合、近傍の24点を用いてフォーカスを合わせようとする。
セレクトエリア拡大L
(AF.C でのみ有効)
最初のフォーカスポイントとしてユーザーが選択した1点を用いる。システムが合焦後に被写体がフォーカスポイントから動いたと認識した場合、全AFポイント 33点を用いてフォーカスを合わせようとする。

Note: セレクト、セレクトエリア拡大(S)、セレクトエリア拡大(M)、セレクトエリア拡大(L)、はそれぞれ、光学ファインダー内や肩部のLCDパネルに、「SEL-1」,「SEL-2」, 「SEL-3」, 「SEL-4」と表示される。3つのセレクトエリア拡大モードは AF.Cの場合にのみ設定できる。

重要な事は、3つのセレクトエリア拡大モードはPentaxがどのように動体追尾を実装したかを示している。ユーザは被写体の場所にに関するヒントをカメラに与えられるようになっている。カメラは、その後、その他のAFポイント、もしくは、可能であれば全てのAFエリアを利用して動体を追尾するようになっている。

我々のフィールドテストにおいては、「セレクトエリア拡大(S)」または「セレクトエリア拡大(M)」を利用した時に最も良い追尾性能を示した。動体撮影においては、「セレクト」「スポット」「ゾーンセレクト」の代わりに、これらのモードを用いることを強くオススメする。これらのモードでは、ユーザの技量とカメラのAFセンサの性能とを掛けあわせ、最大限の結果を引き出すことができるだろう。

静物撮影においては、我々は「ゾーンセレクト」モードをとても気に入った。より狭いゾーンセレクトモード(上下4点を含む5点を選択するモード)がK-1には欠けているのだが、いずれにせよ、この「ゾーンセレクト」を使うとより正確なフォーカスポイントのコントロールができる。Nikonのユーザであれば「グループエリアAF」と似たものと思ってもらえば良いだろう。古風なアプローチではあるが多くの場合には、1つのAFポイントのみを用いるのが最も精度良くピントを合わせることができるが、部分的に自動化したモードもとっさに何かが起きるような(ウエディングやイベントなどの)状況下ではとても使い勝手が良い。

昨今ほとんど言うまでもないことだが、K-1は並外れたAF精度を実現し、実際、我々の5000カット以上の静止画のテスト撮影においてフォーカスを外さなかった。ポートレート撮影においては、「セレクト」モードが最も良い結果を示した。

それでは、残りの設定項目について見ていこう。

AF.S の動作
フォーカス優先 被写体にフォーカスが合うまでシャッターが切れなくなる。キャッチインフォーカス機能を利用する場合に必須
リリース優先 被写体にフォーカスが合っていなくてもシャッターが切れるようになる。
AF.C 1コマ目の動作
オート カメラが被写体がフォーカス位置からどれだけ外れているかにもとづいてモードを自動的に決定する。
フォーカス優先 同上
リリース優先 同上

これらの設定は、連写モードでの1コマ目を常にフォーカスが合うようにするため用いられる。

AF.C 連続撮影中の動作
オート 同上
フォーカス優先 同上
コマ速優先 同上

これらの設定は、連写中のAFの動作に影響を与える。各設定項目が意味するところは上述の通り。

AFホールド
オフ   
弱     
中     
強     

オフに設定した場合、カメラはAF領域から被写体が離れると即座にフォーカスを再調整しようとする。AFホールドを強めに設定するほど、このフォーカス再調整の挙動が発生するまでの待ち時間が増える。 我々は、被写体の動きが単純によほど予測しやすい場合を除き、「オフ」または「弱」をオススメする。

これらの補助設定を適宜設定することで、AFシステムの挙動をよりユーザの好みに合わせることができる。我々は通常、AF.S 及びAF.Cの1コマ目に関しては「フォーカス優先」に設定することをオススメする。AF.Cの設定項目に新設された「オート」は 興味を引くし、フレームレート(連射速度)とAF精度のバランスを最適化するポテンシャルが感じられるのだが、オススメはしない。Pentax K-1の基本フレームレートはK-3ほど高くないため、カメラは自然と連続撮影時のコマ間にAFの調整をする時間が十分にあるため、この設定がフレームレートに大きな影響を与えることはない。

実利用で想定されるありとあらゆる利用ケースを想定してフィールドテストを行うことは不可能ではあるが、我々が今回K-1を使ってみた体験から言えることとして、このAFシステムは今までに発売されたPentax機の中で最も使い勝手が良い。これには、新たに開発された光学ファインダーのおかげもあるが、それとともに、あらゆる操作が素早くできることも1つの要因としてある。動体撮影に使おうと思ってこのカメラを選んだユーザであれば、安定して高いフレームレートが実現できることを望むだろう。Pentaxがプレスリリースで謳う「リアルタイムシーン解析システム」は、マーケティング上の謳い文句にすぎないと見たほうがいいだろう。

ライブビュー利用時のAF(コントラストAF)

ライブビューにおけるAF方式として、Pentax K-1はコントラストAF(CDAF; Contrast Detection AutoFocus)を採用している。CDAFは、本質的には、トライアンドエラーによって最適な解(ピント位置)を見つける仕組みだ。それゆれに、一般的には位相差AFに比べてよりピント精度に優れていると言われている。しかしながら、CDAFに対するこの評価は、実使用においては必ずしも正しくない。以下では、このことについて論じる。

利用するレンズに関わらず、CDAFは決して前ピン・後ピンになることはない。他方、位相差AFを使う場合に関しては、K-1は全レンズに対する一律のピント調整か、20本までレンズごとに細かなピント調整を行うことが可能になっている。なお、このピント調整は、1本のズームレンズの各焦点域に対して個別に行うことはできない。これらの設定は、C25 カスタムファンクションから行うことができる。

K-1 in CDAF auto mode: 3 points reporting in focus

コントラストAFは、複数の動作モードを備えている。光学ファインダーでのAFと同様に、最初の2つの設定は、コントロールパネルまたはメインメニューを通じて設定することができる。 フォーカス・リリース優先設定はK-1で初めて導入されたものだ。もっとも、CDAFの場合、ピントを外すことはほとんどない。

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K-1 は以前の機種と同様のCDAFの動作モードを備えている。デフォルトのオートモードである「顔検出」、「追尾」、「多点オート」、「セレクト」、「スポット」。これらの各モードについては、我々が以前に公開したK-3 レビュー記事を参照してほしい。これらのモードは、K-1においても全く同様だ。

日々のスナップ撮影においては、「顔認識」もしくは「多点オート」をオススメする。これらのモードは、ユーザーが選択したAFエリア内で被写体を検出する上、「セレクト」や「スポット」モードよりも高速に動作する。AFスピードとピント精度に関して言うと、K-1はPentax K-3と全く同じであることに我々は気づいた。CDAF のスピードは一般的には十分良い部類だ。しかしながら、低照度下やフォーカスレンズの駆動量が多いレンズでは大幅に速度が低下する。シンプルな原理の「追尾」モードが存在しているにも関わらず、PentaxのCDAFは動く被写体を追尾するにはたいていの場合に十分ではない。というのも、CDAFでは、レンズのフォーカスが既にピント位置に近い状態にあったとしても、AFモータを前後に駆動させる必要があるためだ。

Selectable AF areas in auto mode (3 others not pictured) (元記事参照)

最高のピント精度を求めるならば、「セレクト」モードが最善の解となるだろう。このモードでは、AFポイントよりも小さなサイズでほぼ無断階にピント位置調整が可能となる。

Precise AF point selection in select mode (元記事参照)

ささいな欠点ではあるが、このモードでは拡大表示した状態でAFを動作させられない。そのため、CDAFでのピントの追い込みは、上記スクリーンショットに示すレベル以上に行う術がない。拡大表示した状態でAF操作をしようとすると、拡大表示が解除される。他社と比較すると、Nikonのカメラでは、ライブビューでの標準状態よりも拡大表示された状態で、フォーカスをより正確に合わせることができる。結論としては、K-1は、最もベストな精度でピントを合わせるには、マニュアル操作するしかない。

将来的には、ライブビューで像面位相差AFセンサが使えるようになってほしい。実用できる追尾モードを実現してほしいのと、スナップ撮影時のAFが全般的に高速化してほしいためだ。とはいえ、純粋なCDAFシステムとしては、K-1のライブビューAFは、ふだんのスナップ撮影においてとても上手く機能する。これは、例えば、Nikonの現在のライブビューと比べてもかなり良い。広角レンズ利用時には、CDAFは、光学ファインダーで位相差AFを利用するときとほとんど遜色ない速さに感じる。

マニュアルフォーカス

K-1 はマニュアルフォーカス時に撮影者をアシストするための機能を複数備えている。

光学ファインダー

何よりもまず第1に、大型の35mmフルサイズ用光学ファインダーはマニュアルフォーカシングにとても向いている。これ以上に、K-1は、完全なマニュアルレンズに対してさえも、フォーカスが合ったことを知らせるサポート機能(AF confirmation)を用意している。被写体がフォーカスポイントに入ると、カメラは(サウンド出力を有効にしている場合)ビープ音を出すとともに、光学ファインダー内に用意されたフォーカスが合ったことを示す六角形(合焦マーク)を点灯させる。マニュアルレンズを扱う場合、AF confirmationは中央1点のAFポイントに制限される。

光学ファインダーは一般的に言って明るい部類だ。このため、大口径レンズを用いる場合マニュアルフォーカスがやりやすい。

キャッチインフォーカス

フォーカス支援システムのかなり有益な1機能として、Pentaxには"キャッチインフォーカス"が用意されている。C24のカスタムファンクションの設定項目を有効に、AF.Sでフォーカス優先モードにした状態で、マニュアルレンズを(もしくは、レンズ上のAF/MFスイッチを用いてAFレンズをMFレンズとして)用いる場合には、被写体がフォーカス領域に入っただけでシャッターが切られるようにできる。この機能は、マニュアルレンズを使う上で有効な撮影テクニックの1つだ。特に鳥をはじめ、動く物体を撮影する際に有効だ。設定方法や活用方法についてより詳しくは、我々が用意したin-depth guideを参照してほしい。

ライブビュー

我々はここまで、K-1のもっとも良い機能の説明を最後にしようと残してきた。光学ファインダーでの撮影は、伝統的なアプローチであり、多くのフィルムカメラの時代からの撮影者が慣れ親しんできたものだ。一方、ライブビューは、実際のところ、正確にマニュアルフォーカスを行うためのより実用的なツールになっている。

K-1 はフォーカスアシスト機能が搭載されている。この機能は、画面内でシャープなエッジ部分をハイライト表示する。フォーカスアシストのおかげで、画面内のどこにフォーカスが合っているかを容易に視認することができる。また、それとともに被写界深度を正確に把握することができる。フォーカスアシスト機能は、コントロールパネルか、メインメニューのコントラストAFの項目内で有効にすることができる。この機能は、手持ちで撮影する場合にとても有益だ。

フォーカスアシスト機能を有効にした場合に表示されるエッジ部の色はカスタマイズできない。フォーカスが合っているとみなされる物体は白色でハイライトされる。

Focus Peaking Off Focus Peaking On (元記事参照)

2つ目の便利なツールは、ライブビューでの拡大表示だ。K-1は、画像の一部を最大で16倍まで拡大表示することができる(おおよそ10倍表示で100%(※ドットバイドットでの表示)に相当する)。 このおかげで、極めて高精度にフォーカスを合わせることができる。この機能は、三脚で撮影する場合に特に有効だ。また、ライブビューの表示フレームレートはスムーズで、また、ライブビューの使用によりカメラの処理速度が落ちることもない。

ライブビューとフォーカスアシスト機能を組み合わせることで魔法が起きる。この組み合わせでは、極めて被写界深度が浅いレンズであってさえも、正確に狙ったところにフォーカスを合わせることが簡単にできてしまう。

唯一の不満は、写真を撮るたびに拡大倍率がリセットされてしまうことだ。

AF速度

オートフォーカスの速度は、Pentaxユーザ界隈においていつだってホットな話題となっている。というのも、Pentax のカメラは競合他社のものに比べて遅いことに定評があるからだ。一般的な利用シーンにおいては、昨今この話は神話となっている。しかしながら、スポーツ写真のような分野において 他社システムがより高速に動作することを我々は否定しない。

SAFOX 12 チップ(元画像を参照)

Pentax K-1の総合的なAF速度を調べるため、我々は、前世代のK-3をベンチマークとして対決させた。どちらにもD FA 28-105mm を焦点距離 28mmに固定して用いた。カメラから200cm先にある白黒のチェックパターンを被写体として、繰り返しフォーカスを合わせた。この2つのテストを実行するにあたっては、最初にフォーカス位置を再近接距離と無限遠とに設定している。このレンズはレンズ内モータを内蔵しているため 、このテストではカメラ本体の処理能力を見ることができる。

我々は周辺光の明るさを変え、各テストを7回ずつ行った。測定ミスを無くすために、計測タイミングは録音した音から判断した。もちろん、AF補助光は無効化した。下表には、無限遠からの測定結果をまとめた。

0 EV (暗闇) 3 EV (薄暗い) 7 EV (適度な明るさ)
K-1 (SAFOX 12) 0.8秒 (0.4-1.3秒) 0.6秒 (0.5-0.8秒) 0.2秒 (0.1-0.3秒)
K-3 (SAFOX 11) 1.2秒 (0.9-2.1秒) 0.5秒 (0.4-0.9秒) 0.4秒 (0.3-0.4秒)
  • AF速度のテスト結果:
    • 7回テストした結果の平均値を示している。(カッコ内はテスト結果のばらつきを示している)
  • テスト条件:
    • D FA 28-105mm @ 28mm (F3.5) 無限遠から2mの位置にフォーカス

結論としては総合的にK-1のフォーカス速度はK-3よりも高速であるといえるのだが、これらの結果から明白なことは、PentaxのエンジニアはSAFOX12ではオートフォーカスの制御方法に明らかに手を入れたということだ。3EVでのテストの平均値を見るとK-3 の方が僅かに速い(と同時にワーストケースでは、K-3は僅かにK-1より遅い)という事実が、K-1とK-3が若干異なるアルゴリズムを用いていることを示唆している。また、K-1が殆どの場合で高速であるが、時々K-3がベストの値を出す。 我々が観察した範囲では、フォーカシングが『遅い』ケースの後には、どちらのカメラも続くケースではかなり高速な結果を残した。Pentaxの現在のAFの実装では、AF.Sモードであっても、前回のフォーカシング時における被写体の最終位置を記憶し、フォーカス位置制御の演算に利用している可能性がある。

別の観察結果として、フォーカス速度は周辺光の明るさが増加するに従い、劇的に改善した。テストに用いたレンズはフォーカス繰り出し量がかなり少ないため、このテストでは主に、各々のカメラがどれだけ高速にレンズ位置制御のための演算を実行し、レンズ位置の微調整を行えるかを見ていることになる。0EVでのテストにおける劇的な性能差は、より迅速に位置制御のための演算を実行できるようになったK-1の能力をハッキリ示している。

これらのテストにおいては、どちらのカメラもフォーカスを外すことはなかった。しかしながら、-1 EV において同様のテストを行ったところ、たまにミスがあった。公式にはどちらのカメラも -3 EVの暗さまで対応しているが、AF補助光なしでは 、-3 EVの暗さの下ではAF精度は振るわなかった。

我々は、最近接距離からのAFテストの結果についてはまとめていない。というのも得られた結果が、3 EVでの結果も含め、上記表と一貫して同一傾向だったからだ。

動体追従性能

フィールドでの性能はどうだろうか? 我々は、カメラの前を通り過ぎる車やバイクのような被写体をセレクト拡大(S)、(M)、ゾーンセレクトモードで撮影してみて、主観的な印象としては、K-1は上述したAF.Sでの改善が、AF.Cモードに対しても同様に行われている。SAFOX 12は極めてレスポンスが良く、特にAF ホールドの設定をオフにした場合に顕著だ。我々としては、ユーザからの報告が我々の検証結果と一貫した内容となることを期待している。もっとも、我々としてはAF.Cでの連射性能に関しては別の記事でより詳しく調べる予定だ。

ボディ内モータの性能

K-1のボディ内モータの速度についてもテストした。テスト方法としては、レンズのピント位置を無限遠に合わせた状態から、最短撮影距離に配置した被写体にピントが合うまでの時間を計った。K-1のボディ内モータ自体は、K-3とくらべて特段速くないように思われる。もっとも、総合的にはAF性能は、制御アルゴリズムの改良のおかげで改善しているように思われる。

平均値 (ばらつき)
K-1 (SAFOX 12) 0.6秒 (0.5-0.7)
K-3 (SAFOX 11) 0.7秒 (0.6-0.9)

3 EVの環境下で、 FA★80-200mm を焦点距離150mm 、F2.8で固定してテストを行った。上表の値は、無限遠から最短撮影距離の被写体にピントが合うまでの時間の平均値を示している。

これまでのテストと同様に、この平均値は録音にもとづき判断した計測値7回分に基づいている。

ボディ内モータ駆動時の音

K-1のボディ内モータは、K-3で改善されたものと比べて特に速くはなっていないものの、静かになっている。K-1のモータ駆動音は、今までに我々がテストしたPentaxの一眼レフの中で、もっとも静かであると言っていいただろう。

www.youtube.com

Pentax DCモータの性能

我々の結論としては、新たなPentaxのAFシステムのフォーカスは極めて高速だ。最新のPentaxのレンズ内モータの性能はどれくらいのものだろうか?

性能を調べるため、我々はK-1と最新の Pentax D FA★70-200mm レンズとの組み合わせと、D810と Nikkor 70-200mm VR II との組み合わせとを、明るい日中(13 EV)の環境下で比較してみた。

この結果明らかになったことは、Nikonの組み合わせは注目に値する程度のアドバンテージがあるということだ。とはいえ、その差は数分の1秒もなかった。

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総合評価

SAFOX 12 と新型の光学ファインダーによる AF システムは、Pentaxにとって新たな1歩を刻んだと言える。光学ファインダーに設けられた透過型液晶のおかげで 、撮影者はカメラからより多くのフィードバックを得ることができ、各種AFモードの挙動をよりよく理解することができる。K-1は、以前のPentaxの機種に比べて、AF.SとAF.CとのいずれのモードでもAF速度が改善されている。これには良い意味で驚いた。(AF速度を犠牲にすること無く、)ボディ内モータの動作音が静かになったことも、人によっては嬉しいところだろう。

K-1のAFシステムは、多数のAFポイントや最新のCanonやNikonが備える動体追尾性能を備えているわけではないが、その性能は動体撮影向けに特化して設計されて"いない"カメラとしては極めて良好だ。.

今後の希望を言うと、ライブビューで、画面を拡大表示している状態でフォーカシングできるようになるなどの変化があると嬉しい。ライブビューでのフォーカスアシストについてはよりオプションが用意されるとメリットがあるだろう。また、言うまでもないことだが、ライブビューで動体追尾が可能となるように、像面位相差AFセンサが導入されると嬉しい。

リコーイメージング PENTAX K-1 完全ガイド (インプレスムック DCM MOOK)

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  • 作者: 吉村和敏,大山顕,洲?秀憲,中西敏貴,横木安良夫,大和田良,小林哲朗,茂手木秀行,HARUKI,萩原史郎,佐々木啓太,桃井一至,岡嶋和幸,伊達淳一
  • 出版社/メーカー: インプレス
  • 発売日: 2016/04/28
  • メディア: ムック
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*1:訳注:F2.8光束に対応しているため