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LOVE PENTAXYZ

News & Tips about PENTAX products, and daily photos by PENTAX cameras.

変わりゆくPENTAX に思いを馳せる 2014年11月公開分の出願状況


元PENTAXの開発者の方の出願件数が減ってきており、元PENTAXの出願だけ見ていてはぐんにょりする感じになってきたので、今回から元RICOHの開発者の方の出願にも目を通すようにしました。

というわけで、先月のRICOH IMAGINGの出願一覧がこちらになります。


カメラ/PENTAX/特許出願一覧/2014_11

※ 特許公報に関する基本知識。通常、特許明細書は、特許出願されてから1年半で公開されます。つまり、今回取り上げている2014年11月の公報は、1年半ほど前の 2013年3月~5月頃のRICOH IMAGING社内での研究・開発状況を反映していると考えるのが妥当です。

注目の出願

デジカメに関する雑学知識を蓄えたい方に

まず、紹介する2件は、発明のポイントに加えて、その発明に到るまでの背景技術もしっかりと書かれており、読み物として面白いものでした。

特開2014-209681号
AWB(オートホワイトバランス)のかなり詳細な仕組みの解説と、人の顔が画面の大部分を占めた場合など、特定条件下におけるAWBの暴れを抑えるための工夫(※)について開示されています。非専門家向けの書籍の『ざっくりした解説』に首をひねっていた、そんな貴方におススメです。

ぶっちゃけこれを読めば、『OpenCVなどの画像処理ライブラリを使って、AWBの振る舞いを自分で確認できてしまう』、そんなレベルで詳細に書かれています。

上で「工夫」って書いたので、大したことなさそうに思われるかもしれないですが、なんやかんや高度な計算がされています。少なくとも大学の教養相当の物理学(≠プログラミング)の知識がないと、技術の裏側(開発者の意図)が汲み取れず、つらい思いをするかもしれません。すみません適当に書いてます。

個人的には、AWBの精度を1%程度上げるためだけでも、こんなに大変なのか!!と衝撃を受けました。

特開2014-220595号
電池残量を正確に検知することの難しさと、それを克服するための涙ぐましい努力の跡が感じられます。こちらも、背景技術(既存の「電池残量の検出の仕組み」)が詳細に解説されているので、非専門家向けの書籍にある『ざっくりした解説』に疑問を感じていた方にはおススメです。

とりあえずこれは読んどけ

とはいえ、今回はなんといっても、egamiさんのblog 「エンジニアの嗜み」で既に紹介された


特開2014-219638号が注目度No.1の出願かと思います。

発明の概要

詳細な解説はegamiさんが既にされておりますので、そちらを見て頂くとして、ざっくり説明すると、
従来の透過率固定のハーフミラーに変えて、

薄膜が積層されたガラス基板2枚(6a, 6b)を、所定の間隔(3)を開けて配置し、
この間隔(3)に応じて、ガラス基板2枚(6a, 6b)1セット(10)での透過率が変わることを利用し、
ピエゾ素子(51)を用いて、必要に応じて、その間隔(3)を変更するこというものです。
103: センサ、 104: 位相差AFユニット
実際にこの機構(10)をデジ一に搭載する場合は、上図のように配置することを考えているようです。各ユニットの配置関係は、SONYのTLM機と同様ですね。

PENTAXはハーフミラー機の夢を見るのか


ハーフミラーに関する出願は以前からあって、下記記事で取り上げたのですが

「自社の将来のため?」なのか、「SONYへの技術提供のため?」なのかいまいち判断しかねる感じでした。
今回の出願では、TiO2とSiO2の薄膜を、日本ゼオン社のZeonex480R上に積層させる、という具体的な構成まで開示があるので、「すわっ!実用化も近いのか!?」と思ってしまったのですが、

制御する薄膜間の距離(上図の3)が 5 ~ 300nm。

そんな超高精度で動作可能なアクチュエータとなると、明細書に開示されているように、現状、ピエゾ素子くらいしか思い当たるものがなく…、これ、コスト面で折り合いが付くのだろうかと素朴な疑問を感じました。

PENTAXの技術、RICOHの技術

こんなことを言うと、どこからか石を投げられそうなのですが、今回、出願された明細書を一通り読んで、ソフトウェア周りに関しては、RICOHの技術力はPENTAXよりもだいぶレベルが高い雰囲気を感じました。

開発者目線の話をすると、PENTAXの場合、「開発者の方が出ていく一方(他社に移ってばっかり)」というイメージがあるのですが、(いや、あくまで今までの特許公報から見ての自分の勝手なイメージですが)、RICOHの場合は、他社大手企業からの開発者の流入が少なくない頻度であり、それだけ技術面でも魅力的な会社なのかなぁと。

一方、PENTAXにおいても、一眼レフのメカ(機械設計)に関しては、高い技術力があるのは確かですし、今後、PENTAXのメカに、RICOHのソフトウェアが組み合わされば、ビジネスとしてちゃんと成立する形で、完成度の高いものができるんじゃないのかなぁと、ぼんやり思ったりしました。

だがしかし、RICOH(優等生)は好きじゃない

長らくPENTAXを取り巻く状況を観察してきた個人的印象としては、RICOHの優秀な開発者の方・マーケティングの方が加わったことで、徐々にですが、ビジネス的にPENTAXの製品がソツない感じに変わりつつあるように感じています。

ただ、個人的にPENTAXが好きな理由は
  • 素人目に見ても上手いとは思えないマーケティング
  • (素人目に分かり易いため)マーケットにおいて主流になっている「レンズの解像度」偏重主義に背を向けて、(本当の意味ではレンズ設計者くらいにしか分からない)「レンズの味」を重視してしまってマーケットからはアウェイ感漂ってる感じ
  • 愚直なまでにM42・Kマウントのレンズを死守する(一銭の得にもならない過去のユーザまでも大切にする)泥臭さ
とか、なんかそーいう、ビジネス的にダメな感じしかしない、我が道を突き進むPENTAXが好きなのであって、どちらかといえば質実剛健なスタンスをとるRICOHに対しては、嫌いじゃないけど好きじゃないなぁと…。

『あぁ、自分が好きだったPENTAXという会社は、本当になくなってしまったんだなぁ…』と、2年の歳月を隔ててヒシヒシと感じるこの頃でした。